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ウェブマガジン掲載|マンション修繕積立金の98%は実質破綻している!

kage

2014/01/09 (Thu)

講談社のウェブマガジン「現代ビジネス」に掲載されました。

ぜひ、ご一読くださいませ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37776



*****「現代ビジネス」より転記******

市役所や県庁の公共工事で「談合」が行われれば犯罪行為として断罪されるが、マンションの管理組合が発注する大規模修繕工事ではどうやら、それが常態化しているらしい。マンション修繕や管理のコンサルティング会社シーアイピーの須藤桂一社長は、そんな業界の実態を明かす。

分譲マンションに住む人ならご存知の通り、住民は管理費のほかに修繕積立金を毎月支払うのが一般的だ。十数年に一度の頻度で行う大規模修繕のために積み立てているわけだが、談合によって修繕価格が高くなれば、先々の資金が足らなくなり、さらに高い積立金の負担が必要になる。つまり、工事業者らの談合によって入居者が損害を負うことになるのだ。

「これを見て下さい」と須藤社長が一枚の紙を広げた。そこにはあるマンションの修繕工事で、管理組合が工事会社5社から見積もりを取った結果が記載されていた。

<1億4900万円、1億5200万円、1億5200万円、1億5600万円、1億6300万円>

素人目には問題ない入札結果の数字のようにも見える。だが、須藤社長は「これでは談合してますと白状しているようなものだ」と苦笑する。談合をせずに、きちんと積算したら、こんな似た数字には絶対にならないというのだ。

別の管理組合が行った規模の違う別の工事で、談合ができない仕組みで入札をしたところ、最低価格の2億4000万円から最高価格は4億4000万円まで大きく幅が開いた。さらに別の工事では5億5000万円から12億円までバラつきがあったという。談合なしで入札すれば、これぐらいの価格差が生じるのが普通だというのだ。

もちろん、談合によって誰かが本来以上の利益を得ようとしているわけだが、須藤社長によると、いくつかのパターンがある。①管理会社主導型②コンサルタント(設計者)主導型③発注者(理事長)主導型──で行われることが多いという。

①の管理会社とは、日々のマンションの管理などを行っている会社である。マンションを建設したデベロッパーの子会社というケースが少なくない。どのタイミングで修繕を行うかという長期修繕計画の策定などにも関わり、当初の管理費や修繕積立金の決定などにも関与しているケースが大半だ。

当然のことながら、修繕費用としていくら出す予算になっているか、管理組合のフトコロ事情も熟知している。その管理会社が親密な工事会社に受注させるために便宜を図るというのがよくあるケースだという。

②のコンサル主導型は、管理組合が適切な工事業者を選んだり、必要な工事の内容をチェックする役割として選定したコンサルタントが、談合に関与するケース。管理組合から報酬をもらう一方で、受注業者からも一定のバックマージンを得るのだという。

管理組合からみれば背任行為だが、多くのコンサル会社が業者からのバックマージンを当てにしているそうだ。管理組合はコンサル選びの際にも競争入札するケースが多いが、低い価格で受注した場合、それだけでは収益が確保できないからだという。

コンサル会社は工事業者を「公募」する場合が多いが、意中の工事会社に突破させるのは簡単だという。公募の際に、資本金の規模や分譲マンション改修工事での実績数字などを条件にし、意中の工事会社がクリアできる条件を設定すれば良いのだ。

「正直言って、昔は私も談合の片棒を担がされたこともありました」と明かす須藤社長。「今でもマンション管理組合の大規模修繕工事で、世の中の設計事務所やコンサルタント会社の大半は、確実に談合している」と言う。

もう1つの③は、管理組合の理事長などが知人の建設会社などに受注させようとするケース。理事長がバックマージンを得ているような例もあるという。

当初の積立金のまま修繕できる例はほとんどない

いくら民間の工事とはいえ、談合が当たり前というのは異常だろう。だが、須藤社長は「まだまだ管理組合の意識が低く、業者からすればやりたい放題になっている」と口元を歪める。

筆者自身の経験でもマンション管理組合の理事会や総会にはほとんど参加したことがない。工事など修繕積立金の使い方も理事会の役員任せだった。世の多くの人たちが、なかなか関心を持たない問題なのだろう。

それでも最近は、業者選びを厳格に行って少しでも費用を安く抑えようという管理組合が増えてきたそうだ。というのも、ほとんどの大規模マンションで修繕積立金が破綻の危機に瀕しているからだ。マンションを分譲する段階では多くの入居者が住宅ローンを組む。毎月の支出は目一杯のため、管理費や修繕積立金をあまり高く設定できない。月々の経費が高くなれば、売れ行きにも影響する。

30年の長期修繕計画を策定しても、実際には、当初の積立金額のまま修繕ができる例はほとんどない。

「現在のマンションの修繕積立金の98%は実質的に破綻している。1世帯あたり数百万円足らないところも少なくない」と須藤社長は言う。

あるマンションで毎月6000円の積立金の見直しを計算したら、月に4万5000円必要だという結果が出た例もある。毎月の積立金を引き上げられなければ、工事の際に一時金で集めるしかなくなる。そんな現状に直面して、管理組合も真剣度を増しているのである。

また、分譲マンションの場合、長期修繕計画では平均12年周期で大規模修繕が組まれている。国土交通省のガイドラインで定められているからだ。

ところが、ガイドラインが適用されない賃貸マンションの平均は20年周期。そもそも巨額の資金が必要な大規模修繕を分譲マンションは過度に実施している可能性もあるのだが、それだけに大規模修繕の際の工事費用がどうなるかは、住民が毎月支払う積立金の額に直結することになるわけだ。そうした意味でも、大規模修繕工事から談合を排除する意味は大きい。

「談合できない仕組み」で悪しき慣行正せ

須藤氏が社長を務めるシーアイピーでは、談合ができない仕組みを導入しているという。

大規模修繕の工事内容を工程ごとに細かく分解して、それぞれの工事ごとに見積もりを取る。ゼネコンだけで10社に出させるのだが、それだけではない。工程ごとに専門業者からも見積もりを取るのだ。その数200社近くにのぼるという。

それをマトリクス表にして、ある工程で価格の安い専門業者があれば、それをゼネコンと「お見合い」させ、ゼネコンから下請けさせることで、全体の価格を引き下げていくのだ。銀座にあるシーアイピーのオフィスは、こうしたお見合いに訪れる業者や、相談に来た管理組合の役員で賑わっていた。

そんなユニークなコンサル会社を営む須藤氏だが、仕事を取るのは大変だという。200戸のマンションで2億円ぐらいの大規模修繕工事とした場合、社員を2~3人、1年半近く担当させる必要が出てくる。そうなると管理組合から委託報酬として1000万円はもらわなければやっていけないのだそうだ。

ところが他のコンサル会社は200万円といった低い報酬を管理組合に提示するという。ここまで読んでこられた方はお分かりの通り、コンサル会社が工事業者からバックマージンを得る前提で報酬をはじいているからだ。

「法律には一切触れない、とバックマージンを取っている会社は言うのですが、住民や管理組合を欺いていることは間違いない。この悪しき慣行を世の中の人に知ってもらい、何とか正したい」

そう語る須藤社長の闘いは当面続きそうだ。

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